2016年1月8日金曜日

私,本を書きました

おはようございます.

私,本を書きました.

混合診療のお話です.

北海道新聞に本日広告が掲載されました.


【解説】

本を執筆
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 私事ですが,私,昨年12月に本を出版致した.題して「医療の未来」.混合診療解禁をテーマにした本である.

 半年ほど前に,見知らぬ人から突然丁重なメールを戴いた.
 そのメールには,私が札幌市医師会の雑誌「札医通信」に投稿した「もう一度問う 混合診療はどこが悪いのか」という記事を読まれて,私に連絡を取ったとのこと.このことで本を書いてみないか,というお話であった.

 この方は野口さんという方なのであるが,本をプロデュースする仕事(本を書かせて,その本を出版してくれる会社を探し,実際に出版にこぎつける,という仕事)をされている方.業績もメールで送って戴いたが,かなりいろいろな本をプロデュースし出版していらっしゃる. 

 どうしようかと逡巡したが,敢えてやってみることにした.お金がかかる訳ではないし,あるのは本を書く手間だけである.印税は4%とお聞きしたが,これはわずかなものであろう.
 印税を貰うことに私にとってはあまり意義はなく,本をこの世に出し,それを残すことに意義があるのではないかと考えた.

 札医通信の4−5頁の内容を一冊の本になるまで膨らませるのはなかなか大変なことではないかと思った.もちろんであるが,ただ膨らませるだけではダメで内容を持たせなくてはならない.

 本を書くとなると,根拠や数字が曖昧ではダメで,その点も多く指摘され,それを調べるのが結構大変であった.

 いきなり1冊の本にするのは大変なので,4分の1ずつ書いて,それをチェックしてもらった.曖昧さを排除し,また,医師としての自分が当然だと思っていても,一般の人には新鮮だったり,分かりにくい点があったりするようなことを指摘され,そこの部分を書き直したりした.

 半分くらいで来た所で,野口氏が出版社をいろいろ当たってくれた.しかし,なかなか決まらなかった.これは自費出版ではない.私の本を出版するためにお金を出す出版社を見つける,という話である.渡辺淳一先生くらいの人だとすぐに見つかるのであろうが,無名の小生では難航は当然だろう.

 自分としては,当然のことと平静に受け止めていた.
 この間も少しずつ稿を進めた.むしろ,自分の考えが発展し,かつまとまってくるのが嬉しかった.しかし,楽しいばかりの作業ではない.
 本を書いて世の中に発表するとことは重たいことである.インターネットの掲示板でも失言すると.炎上したりする.本の内容で「炎上」するとそれはきっと,インターネット上の炎上では済むまい.交通事故などの面倒な書類を書く時のように筆が重くなることもあった.

 出版社をあたること4−5軒目で,けっこう出版を考えて下さる出版社が見つかりそうになった,との連絡があった.
 先方からいろいろな条件が示された.印税の放棄,そしてその代案として,本を500冊くらい半額で購入して頂けないか,とのこと.まあ,この業界で無名の自分としてはこのくらいはありなのかな,と受け止めた.

 と言っても,500冊を半額で買うと30万ほどになると言う.出費がかかるのは,どうかな,と思った.しかし,同時に本を出すとしても本を何冊か持って,いろいろな方に渡したりしなくてはならないだろう.

 昨年,自費で趣味(琉球三線)が高じて「八重山古典民謡の調べ」を出したが,これは500冊刷ったのである.このようなものは,100冊刷っても500冊刷っても代金はあまり変わらないものであることが分かった.ちなみに,「八重山古典民謡の調べ」は500冊で35万円.仮に600冊刷ったとしたら,37万円であった.500冊刷っても,方々に配ったので,現在手元には100冊程しか残っていない.

 閑話休題.このような「感覚」がここで役に立った.
 印税放棄に同意し,同時に300冊ほど無料で戴けないか,と言う話をすると,出版社の方で同意して下さり,出版の話が一気に進んだのである.

 出版と言うものを実際に控えると,やはりその重大さに身の引き締まる思いがした.書いた内容に思わぬ批判を浴びせかけられるのも嫌だし,いろいろな人にご迷惑をおかけするようなことがあってはならないだろう.
 しかし,あまりにも慮ると,官僚の作文のように何を言いたいのか分からないボケた内容になる.

 特に「混合診療」という問題は難しい.混合診療にはいろいろなものがある.我々にとって,国民にとって,非常に良い「混合診療」という形もあるのである.
 しかし,この制度設計をするのはあくまでも政府であり,就中(なかんづく),政府の中枢にいる財政諮問会議,改革開放諮問会議,あるいは財務省の官僚が制度設計をすることになる.この人たちの考えている混合診療は大変面妖なものである.それはまさに国民の危機である.

 それを考えるとき,このような流れも天の巡り合わせか,とも考えた.将に「天の暦数,我が躬(み)にあり」と言うことか,とも思った.

 分かりにくく,ややもすると「官僚の作文」になりがちなこのテーマに対して,医療政策に長じた諸先輩を差しおいてものを述べる僭越を顧みず,時として10のうち,8か9が正しければ,1と2の例外を打ち捨てて思い切り筆を進めた.

 とにかく,「医療の未来」は平成27年12月に発刊されました.皆様に於かれては,もしご関心がおありなら,是非お読み戴いて,「橋本.それは違うよ」など,辛辣なご批評を戴ければ,私としては幸甚であります.


 











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