今日は
こんな記事を見つけました。
2006年に書かれたものですが、今も似たり寄ったりですね。
(77)電子カルテは紙カルテを上回るか
まとめ:現在の電子カルテは、多くの診療所にお勧めできる水準ではない。多くの場合、返って不便です。診療所の電子カルテの導入が、本当に自分の診療所で役立つのかしっかり検討し、慎重に決断しましょう。
以下の内容は日本医事新報2005年6月11日号、「電子カルテは紙カルテを上回るか」、松本光正医師の原稿を元にしたものです。
執筆者の松本光正氏は関連病院で一年前から週に一度、電子カルテを使用しています。
パソコンはある程度使えるほどだそうです。
電子カルテの長所ばかりが報道される昨今に、あえて、電子カルテの不利な点を述べています。
執筆者の松本光正氏は関連病院で一年前から週に一度、電子カルテを使用しています。
パソコンはある程度使えるほどだそうです。
電子カルテの長所ばかりが報道される昨今に、あえて、電子カルテの不利な点を述べています。
電子カルテの欠点
(1)紙カルテよりも記載には圧倒的に時間がかかる
コンピュータ上級者ですら記載時間の短縮にならない。カルテ作成はただの文章記載だけではない。1時間に20人以上はとても対応できない。
◆所見の記入
紙カルテのほうがはるかにスピードが速い。
しかもパソコンを見つめながら患者さんの話を聞くと、患者さんは不安になる。
文字だけでなく、画面を変えるのに何度もマウスをクリックしたり、マウスで絵を描いたりするので、手書きほど速くできない。
◆処方の記入
一般に薬の名前をシートから選んで画面上に並べてゆく。
内服方法や何日分投与するのか、みんなキーボードとマウスの操作が必要。
同じ処方か、決まったパターンの処方でなければ、紙カルテの5倍どころか、時には20倍も30倍も時間を要する。
診察の後で薬を変更、追加も画面の変更から始めなくてはならず、たいへん面倒。
電子カルテにとって新規処方や処方の変更は最も時間のかかる作業である。
◆検査、レントゲン、心竃図などの指示
検査の指示も処方の変更と同じく、大変面倒である。
検査の追加も厄介である。
(2)過去のデータがなくなる
新規の開業時に電子カルテを導入するのは簡単であるが、紙カルテから電子カルテに変更した時は大変。
過去のデータを電子カルテに移すには膨大な時間を要するので通常は行わない。
そのため過去のデータがないままの診療となってしまう。
(3)慣れるのに時間がかかるので、臨時の医師が来たら大変
とくに代行の医師が来た場合は大変。
(4)いろいろな紙類の保存
電子カルテになっても、他院からの紹介状、報告書、写真類などがたくさんある。
そのほかにも、各種診断書、証明書などの書類がある。
スキャナーで取り込むのは面倒なので、カルテの代わりに保存するファイルが結局必要となる。
(5)疲労の増大
正面の画面を見る姿勢は、疲れる姿勢である。肩こり、腰痛、画面凝視による眼精疲労、キーボード、マウスの操作で腱鞘炎などなど。
(6)入力ミス
入力のミスは手書きのミスより始末が悪い。
電子カルテでは診療の全体像がつかめない上に過去の患者データが見えない。
そこにきれいな活字で出てくるので信用してしまう。
(7)視認性の悪さ
一覧性が低く、視認性の悪さが電子カルテの最大の欠点である。
紙カルテでは一瞥するだけで数カ月分の患者さんのデータが目に飛び込んでくる。
しかし電子カルテは数回前のことは同じ画面ではわからない。
血圧を測りながらちらちらとカルテに目をやり、数回前までの血圧値をチェックし、同時に前回の投薬内容に目を通す。
紙カルテでは誰もが自然に行うことができる。
電子カルテでは数回前の血圧は何回かマウスをいじるかキーボードを叩いて初めて出てくる。
紙カルテならパラパラめくれば病名や病歴などの膨大な情報が目に飛び込んでくる。
(8)セキュリティー
厳重に管理されている大会社でさえ漏洩する状態です。
小さな病院などのデータはすぐにでも漏れてしまいそうです。電子カルテの数万人分の情報が小指ほどのUSBメモリに収まってしまう。
大量に、しかも瞬時に盗まれるところにこの電子カルテの怖さが潜んでいる。
厳重に管理されている大会社でさえ漏洩する状態です。
小さな病院などのデータはすぐにでも漏れてしまいそうです。電子カルテの数万人分の情報が小指ほどのUSBメモリに収まってしまう。
大量に、しかも瞬時に盗まれるところにこの電子カルテの怖さが潜んでいる。
(9)システムダウン
システムダウンはいつでも起こりうる。
ほとんどすべての電子カルテ導入の医療機関がシステムダウンを経験しているという。
院内は大混乱、小さな診療所では直してくれるエンジニアはそばにいない。
まったくのお手上げ状態となる。
(10)電子カルテの利点と言われていますが…
◆数々の統計がとれる
いろいろな統計を必要としているなら、電子カルテは非常に有用である。
しかし、これらの機能はほとんど使わない機能である。
◆血液検査結果がグラフ化できるなど
なにもこの機能は電子カルテに限ったものではない。
この機能にだけ特化した簡単なパソコンを導入すればそれでよい。
血液センターによっては無料で導入してくれる。
自前で導入してもさほど費用はかからない。
◆待ち時間が短くなる
嘘である。このことは正直な多くの電子カルテ愛用ドクターも証言している。
待ち時間は長くなるのが現実である。
◆事務量が減る、事務作業が速くなる、薬受け取りが早くなる
本来事務員がするべき仕事を医師がしているだけである。
そして患者さん一人に対する時間は返って長くなり、医師一人当たりの患者数が減る。
◆その他、患者サービスの増大
おわりに
こうして見ると、電子カルテはいったい誰のためのもか。
待ち時間は長くなる、医師は顔を見てくれない、薬は電子カルテ用の約束処方ばかりだし、患者さんにとっては一つもメリットはないようだ。
医師にとっても、肩はこる、目は疲れる、患者からは怒られる、システムは高い、と欠点ばかりが目立つ。
電子カルテはとてもカルテに革命をもたらすとは言えない。
近年、コンピュータはすごく発達したが、まだカルテの代わりになるには力不足と言える。
結局、医療という巨大マーケットに対する会社の戦略に過ぎないようにみえる。
待ち時間は長くなる、医師は顔を見てくれない、薬は電子カルテ用の約束処方ばかりだし、患者さんにとっては一つもメリットはないようだ。
医師にとっても、肩はこる、目は疲れる、患者からは怒られる、システムは高い、と欠点ばかりが目立つ。
電子カルテはとてもカルテに革命をもたらすとは言えない。
近年、コンピュータはすごく発達したが、まだカルテの代わりになるには力不足と言える。
結局、医療という巨大マーケットに対する会社の戦略に過ぎないようにみえる。
【当院の意見】
(11)追加:将来、他のシステムへの変更が事実上制限される。最初に導入した電子カルテメーカーの言いなりにならなければならない
現在、電子カルテ導入には1床当たり、約100万円かかるという。
その後の維持にも毎月30万、追加購入するシステムにもコストがかかる。
導入した医療機関が莫大な経済的負担で苦しんでいるとの話は少なくない。
しかも、昔、パソコンのOSがウインドウズでなく、メーカーごとにOSが乱立したときのように、メーカーごとに異なる電子カルテのデータ保存形式であり、またメーカーの顧客囲い込みのために、他の電子カルテへの移行に制限が生じることは必須である。
特にハードと一緒に売り込んできたメーカーは、おそらく4-6年ごとに診療所の場合を例にすると300-400万円以上する「後続機種にしないとメインテナンスできません」と言ってくる。
「モニターも、パソコンも、プリンターも専用でないとできません」など、メーカー側の都合ばかりで、診療所のスペースが複数のパソコンで狭くなる。
医療費削減が大きな問題となる一方で、新たな効率の悪い、金喰いシステムを勧める矛盾もある。
私のところは、よそに比べるとかなり電子化している。
しかし、システムは電子化によって大きなメリットのある部分のみにしている。
自分の診療所にあった、システムと使い勝手となっている。
開発コストも自前なので支払いはない。
このような電子化なら、もし可能ならぜひお勧めします。
参考
「電子カルテは紙カルテを上回るか」日本医事新報No.4233 2005.6.11 号(松本光正、埼玉市・おおみや診療所長)
2006.03.03記 2006.03.20修正
「電子カルテは紙カルテを上回るか」日本医事新報No.4233 2005.6.11 号(松本光正、埼玉市・おおみや診療所長)
2006.03.03記 2006.03.20修正
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