2017年4月11日火曜日

電子カルテを問う ワープロ打ちの功罪

今日は 電子カルテの話題です。

 電子カルテの最大の欠点は、患者情報をワープロで入力しなければならないということ。逆にこれが「読みやすい」という最大のメリットにもなるわけですが。

 しかし、外来の現場では、ワープロは苦しいものだと思います。

 現場は以下のような感じです。

 80歳 男性 今まで膝が痛くてリハビリしていたのに、3ヶ月くらい来られなくて、久しぶりに来院。

患者「久しぶりに来ましたよ。実は私、入院していたのですよ」と仰る。

私「どのくらい入院していましたか」 とお尋ねすると、「2ヶ月くらい。肝臓の癌になったのだと」

 私は紙のカルテなので、カルテに『肝癌で2ヶ月入院』と記載する。

 私 「どこの病院にいつから入院していましたか」とお尋ねする。

 患者 「市立病院に、えーっと、1月の20日から」と仰る。

 カルテにさらに『1/20から  市立病院』と追加して記載。

 私 「どんな治療をしましたか? 手術はしましたか』 とお尋ねする。

 患者 「カメラでね」と言って、お腹を見せてくれた。2cmくらいの傷が2−3箇所ある。

 確かに、カメラで腹腔鏡の手術をされたのだな、と確認できた。
 
 カルテに、癌から矢印を引いて、『腹腔鏡OP』と記載。

 私 「今は何か治療していますか」とお聞きする。
 
 患者 「薬を飲んでいます。今度は・・・えっと、4月25日に行きます」と。

 カルテに、『現在内服中 次回の外来 4/25』と追加記入。

 このような話をしながらカルテに記載していくと、以下のように記載されることになる。

 


 
 紙カルテではこうなるし、何も問題はない。よくあることです。
 紙カルテを使っている先生方ならこのように書くでしょう。
 もっと上手に書かれる方もいらっしゃるかもしれないですが・・・

 しかし、これを電子カルテで書くとなると、ものすごく大変だと思います。

 最終的には
 「1月20日から2ヶ月市立病院に肝臓癌で入院。腹腔鏡を行った。現在、投薬で治療中。次回の市立病院の診察日は4月25日」
のようになる。

 全部聞いてから書かなければならない。
 きっとメモを取りながらでないといけない。
 これは大変である。

 故に、私が聞いたところでは、このような場合の電子カルテの書き方には3つのパターンがある。
 
 1)このような箇所は、メモしておいたり、思い出しながら昼休みなどにきちんと書く。

 2)単語だけ羅列しておく。
   「2ヶ月入院 市立病院 肝癌 腹腔鏡 現在投薬 次回4月25日」のように。
  まあ、分かります。

 3)書かない 膝のリハビリをしている患者さんだし、直接関係ないみたいだから・・・

 なかなか大変だと思う。
 しかし、なるほど、

 「1月20日から2ヶ月市立病院に肝臓癌で入院。腹腔鏡を行った。現在、投薬で治療中。次回の市立病院の診察日は4月25日」

 のようにビシッと書かれていると、他の科のドクターがみても分かり易いであろう。

 しかし、外来でこれをする、と言ったら大変な手間であろうね。


 そこをどう考えるかであろう。

 3)は、ないでしょう。

 患者さんからお聞きしたことは全てカルテに書き留め、何かの時、ここぞ、と言った時に参考にする。このように先輩から習いました。

 それで、救われることもある。
 それがカルテであり、私たちのお仕事だと思っています。


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