2017年3月31日金曜日

電子カルテ 真っ正直な意見1

電子カルテの話題です。

 先日、大きな病院の消化器内科の医師と電子カルテについて話をした。

 この病院は1年ほど前に電子カルテに移行した。

 この医師は私の同期生。学会活動にも積極的に取り組み、国際学会にも年に2回ほど参加して発表や講演をしている。

 この医師に直裁に電子カルテはどうか、とお尋ねした。

 彼が言うには・・・・・

 電子カルテは便利である、と。

 他科のカルテをすぐに見られるのが良い、と。

 検索がすぐに出来るのが良い、とのこと。

 彼は学会活動を積極的に行なっているので、すぐに検索できるのは非常に良い点であろうと思う。

【私の感想】
 まず、(1)他科の医師のカルテをすぐに見られる ということと、(2)検索が容易 というのは、紙カルテにはできない電子カルテの利点である。

 (1)の「他科の医師のカルテをすぐに見られる」であるが、私は整形外科医であるので、残念ながら、きっと他の科のカルテをたとえワープロで綺麗に書かれていても理解できないだろう。しかし、同じ整形外科のカルテなら、手書きでも読むことができる。

 彼は消化器内科の医師、つまり、内科医なので、内科のカルテを読むことができるのである。大きな病院では内科は、消化器、循環器、呼吸器、内分泌、糖尿病、腫瘍内科と多岐にわたるので、内科のドクターはたくさんの情報を診察室にいながらにして得られるのかもしれない。

 私が他科のカルテを見るとしたら、検査結果や入院をしていたら、退院時要約(サマリー)を見るであろう。退院時要約は患者さんのために平易に書かれている。

 (2)の検索であるが、これは、電子カルテにしなくてもレセコンで出来る。事務の人に頼んでおけばやってくれるであろう。
 ただ、彼のように学会活動をする人にとっては、夜に、電子カルテを操作し検索して、該当する患者さんのカルテをこれまたコンピューター上ですぐに見ることが出来る、というのは大きなメリットと感じられるであろう。

 紙カルテの場合は、まず事務の人に頼んで検索してもらい、該当したカルテを出してもらわなければならない。手間がかかる、と言えば手間がかかる。

【結論】
 電子カルテにも上記のようなメリットがあるが、ちょっと手間をかけると紙でも十分に出来ると思う。
 その患者さんの他科の情報を知りたければ、担当医に直接聞いても良いし、カルテを取り寄せると良いのである。
 結論としては、上記に挙げた2つのメリットはあるにせよ、やはり電子カルテには莫大な費用がかかる。
 また、電子カルテはワープロ入力が主となる。これがなかなか面倒であることは事実である。
 メリットからデメリットを差っ引いて、メリットがプラスになるとしたら、そのメリットは電子カルテの導入と運用にかかる莫大な金額に見合うのか、ということが私の結論である。


電子カルテを問う 目次

2017年3月30日木曜日

我が国の国民皆保険の歴史

おはようございます。
 
 寒い日が続いております。

 今日の話題です。

 我が国の国民皆保険の歴史です。

 これを読むと、今の制度を作るのに、本当に血の滲むような努力があり、少なくても、この制度のおかげで日本では医療が受けられない、とか、医療を受けたら家がなくなった、破産した、ということは現在では起こっていません。

 しかし、諸外国ではどこでも起こっております。GDPが日本の4倍で世界一のアメリカでもよく起こっいます。実際、アメリカ人の4人に1人は無保険です。これはどのようなことかというと、心臓のバイパス手術、あるいは、心臓のカテーテル検査、手術をしたら、家がなくなるか、破産するか、という人たちです。

 GDPが世界第2位で、日本の2倍のGDPを誇る中国ではもっと状況は悲惨です。
 
 まあ、それが現状です。

 安倍総理や、安倍総理や自民党の国会議員、そして実際に政策を企画している財閥の人たちで形成している財政諮問会議の先生方も、医療に参画して金を儲けることばかり考えないで、是非理解していただきたいものです。




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2017年3月26日日曜日

雪が攻めてきた

おはようございます。

 スターバックスにいます。

 先週の木・金の雪はすごかったですね。

 もう春かな、と思っていたら大雪が降ってきた。
 
 私の家は、屋根から雪が落ちてくるので、それが積もって写真のようになってしまいました。

 窓ガラスに雪山がかかっているので、雪かきをしていましたが、今年はとても間に合わず、板を置いて雪が窓ガラスに直接当たるのを防いでいます。そうしないと、窓ガラスが割れてしまうのです。

 板を一部外したら、ワーッと降ってきたので、再び板を設置。
 また、雪がすごく降り積もるところには、大増設。すると窓ガラスが全部覆われてしまった。

 北国の生活も大変です。


居間の窓ガラスがすべて雪を防ぐ板で塞がれた


2mくらいの雪山が出来ている


 平成29年3月26日(日)朝




2017年3月20日月曜日

カルテの開示 時代の雰囲気を打ち破れ

おはようございます。

 今、東京に来ています。
 前にも書いたけど個展を見るためです。 
 そして、今、秋葉原のスタバにいます。
 http://kanjifirst.blogspot.jp/2017/03/blog-post.html



 さて、今日は時代の雰囲気と電子カルテのお話です。

その時代時代に、時代の雰囲気、というものが確かにあります。
 
 例えば、現代なら、グローバルとか言われると、みんな「ハハ-」となる。
 なかなか反論を唱え難い。
 本当はグローバリズムなんて、国境を股にかけてビジネスをする大きな企業にりするだけ。
 一般国民は損をするシステムに過ぎないのだが、ハハ- となる。
 あの先の大戦の時もそうである。
 まあ、戦争の時はいつでもそうであるが、国内は戦争一色となる。
 戦争反対、とか、命が惜しい、とかは、とても言いづらい雰囲気が覆う。
 そんなことを言ったら、罰に問われることだって稀ではない。
 これも一つの「時代の雰囲気」である。

 そのような時代の雰囲気というものが、大なり小なり確かにある。
 
 今、医療では「カルテ開示」という一つの雰囲気がある。
 カルテ開示に反対だ、というと、何と頑迷な、自分のカルテに自信がないのか、という雰囲気である。

 その雰囲気を打ち破るためにこの記事を認めます(したためます)。

 まずは、カルテ開示とは良いことなのか? ということ。

 カルテ開示は、私、個人的には嫌いです。全く馬鹿げたことと思っています。
 この時代では誠に言いづらいことですが、敢えて言います。

 

 このような時代の雰囲気の中で、カルテ開示は、一種の義務のように考える人も多いようです。
 (・・・実際は義務ではありません。)
 http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H15/H15HO057.html また、稿を改めて書きます
 
 さて、カルテを誰に開示するのかというと、患者様に対してであります。

 それをどう使うのかというと、患者様が使うのではなく、裁判やら、何やらで、保険屋さんや裁判所で使うみたい。

 あと、地域連携とかで、電子カルテの場合、それがクラウドに保存されていて、提携している別の病院の医師が見る、みたいなことも行われつつあるようです。
 (政府の「過激派」の政治家や財界人は、日本全国のカルテが公開されて、このように医師や医療関係者、介護関係者で共有できれば良いとマジに考えている)

 政府がマジであり、あの手この手でやってくるので、今のIT、電子カルテで一気に進んでいる。
 (400床以上の病院の70%が電子カルテとなった。
 このような病院は大学病院、研修病院なども多いですから、このような病院で育ったわかり医師や看護婦さんは電子カルテしか知らない人も多くなっている。
 こんな記事を書いていること自体が古いのだろうか。いや、本意を正したい)

 カルテも、日本語で綺麗に、というのが良くなったみたいです。
 できれば電子カルテでワープロで、が最高みたいです。
 
 紙カルテに英語やドイツ語を混ぜてグシャグシャ書くことは何やら現代では悪いことみたいです。

 世の中はそのような雰囲気になっている。
 
 しかし、そうなのですか? と言いたいのです。

 カルテには様々なことが書かれています。というか、書きます。

 カルテはその人の病状を記録するものであるが、その人自身を知るために必要なことも書く。
病気を治すためには、その人を知らねばならぬ。

 例えば、家族関係、交友関係、・・・スポーツ歴 趣味 みたいなこと。
 
 時に、刺青があるとか、ないとか。

 家族の慶弔、病気 など。
 
 あと、性的趣向 なども時には・・・

 全体的に幸福なことはあまり病気の原因にはなりません。
 不幸なことが病気に悪い影響を及ぼすものです。
 故に、あまり良くないことを多くカルテに記載することになる。
 (もちろん、おめでたいことも書きます)

 よく交通事故関係からカルテを開示してくれ、と言われる。

 患者の同意があれがどうしようもない。もちろん同意書がある。

 しかし、このとき患者は知っているのであろうか。カルテの内容をである。

 本来なら患者様が、カルテの内容を吟味し、事故による体の故障以外のところに患者本人が墨を入れなければならない。

 また、カルテ開示を求める人や同意書を取りに行った人はそのようなことを逐一患者に説明しなくてはならないと思う。

 地域包括ケアでも、その地域でその患者(利用者)に関わる医療機関、介護施設でカルテを共有できたら、という試みもある。

 しかし、こんなところで公開でもしたら、膨大な人がカルテを見ることになる。良いのか?
 特に介護施設ではその近隣の多くの人が働いている。

 自分のこと、身内のころが赤裸々に暴露されることもある。

 言ってか、言わずかは分からないが、「先生と俺の関係だから話すんだよ」ということもよくある。
 というか、患者さんが外来でお話しすることというのは、全部がそうなのではないだろうか。

 まあ、医師ならば、守秘義務というものを叩き込まれている。

 しかし、介護職員はどうなのか。守秘義務ということをきちんと理解されているのだろうか。
 そもそもそのような法律があるのだろうか。

 それにしても介護施設の近隣には、また近隣の住人が介護職員として働いている。

 電子カルテなんて公開したら、この人たちも見ることになる。
 カルテ開示とはそのようなことである。それで本当に良いのか。

 裁判ともなれば、それは一般世間に公開されるのである。それで本当に良いのか。

 したがって、カルテを公開する場合、我々は常に患者の同意を取る必要がある。

 しかし、その時には「ここにサインして」ではなく、本当に治験の同意を取るが如く、いや、それ以上に説明をしなければならないと思う。

 おそらくは、不同意となるケースも多々あるであろう。

 交通事故にせよ、地域連携にせよ、病状について我々がサマリーを書けば良いことなのだ。
 それでことは足りるし、読む方にしても、効率が良いのである。
 
 このように考えると、カルテ開示はなにも正義ではないし、カルテ開示に疑問を持つ医師も極めて正常懸念をお持ちなのだ、と改めて思う。

 決して頑迷な考え方ではない。


 時代を躊躇なく打ち破れ!

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2017年3月17日金曜日

IT世界の後進国の原住民になってはいけない

IT世界の後進国の原住民になってはいけない

無理なIT化は不幸を齎す(もたらす)ものと考えます.
 
 調度,開発途上国に対するODAのような.
 先進国から,先進的な器械を持って行っても,結局は使えず,保守点検もできず,打ち捨てられる.
 儲かるのは企業だけ.

 そのような話が,ゴルゴ13にも出ていました.
 最後は業者とつるんで旨い汁を吸おうとしたインドネシアのベルガー大臣が,悪魔の祟りを受けて樹木に巻かれて死にました.
 もちろんゴルゴの仕業です.
 この話に,不思議な日本人の老人が出て来る.
 かつて商社にいてODAの仕事をしてていたが,あまりの酷い実態に人生の挫折を味わい,商社を辞め,現地に住みついて,現地人と共に暮らして,現地人の人に手掘りの井戸の掘り方を教えている.
 「時間がかかって非効率でも現地の人に出来ることでやらなければダメだ」と仰る.

 さて,電子カルテにしても,我々は,電子カルテの業者から見ると,低開発国の原住民のようなものかもしれないです.
 夢のようなこと・・・業務の速度が上がるぞ,とか,人件費の節約になるぞ,とか,地元での評判がよくなるぞ,とかいろいろ言います.
 そのような面もあるのかもしれない.
 でもそれは,原住民レベルの人には無理でしょう.
 ITを業者以上に使いこなせる猛者,あるいはこのようなものが大好きな人,そうでないとなかなか難しいのも現実ではないかな,と思います.

 まず,業者はいろいろ言うが,メリットが私にはさっぱり見えない.
 かかるお金の大きさばかりが目立つ。目の玉が飛び出る程です.

 IT・・・我々の出来る範囲でまずは取り組む事を考えなくてはダメ.
 業者任せるのも一つの手であるけど,よくよく考えなくてはダメ.
 ITもどんどん進んで,それとともにITの中で我々の出来る事もどんどん増えている.

ここで何度かご紹介したカルテのスキャンもその一つであると思います.

 強力な手段と思いますがね.
 カルテ庫のスペースを大幅に節約出来る.
 私のクリニックでもそうである.
 カルテもすぐに呼び出せる.事務員が暗いカルテ庫に行って探す事もない.
 大きな病院になれば更に絶大と思います.
 入院カルテをスキャンしてしまえば,カルテ庫などかなり要らなくなるのではないでしょうか. 
 しかも,コンピューターで一発で呼び出せて,もちろん他科と共有も出来る.

 IT・・・まずは自分のレベルで,お金がかからずに出来る事を考えていくのが重要であるし,このIT時代を無難なく乗り切るポイントであると思います.

 ITというものは非常に便利なものです.
 この世でこれから生きて行く限り,ITと付き合わなくてはならないでしょう. 
 そのとき,我々は一歩一歩注意深くこの世界に入って行うことが肝要でしょう.
 この時にくれぐれも後進国の原住民のようになってはいけないと思います.

___________________

まあ、世の中、風下に立ったら負けです。

 戦争でも、サッカーでもね。

 現代では、ITなんか特にそうだね。

 電子カルテを購入するのは、その医療機関の裁量。私がとやかく言うことではない。

 しかし、絶対に風下に立たない。

 電子カルテを買うのであれば、それが不調な時、きちんと足抜け出来るようにしておかなければダメ。

 具体的に何をするか?  電カルの業者に聞いてみる。真摯な対応をしてくれるか、じっと彼らの瞳を見てください。

 「不幸にも電カルが不調だったり、我々の施設に合わなかったら、書きためた電カルはどうしますか。
  御社ではどのようなフォローができるのですか?」と聞いてみたら良いと思います。
  買う前にですよ。


 具体的にはPDF化が出来るのか、してもらえるのか、と言うことですね。

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参考
 ゴルゴ13第95巻-1日・米コメ戦争 虎の尾を踏んだ男たち






2017年3月16日木曜日

電子カルテ PDF化への道

電子カルテ PDF化への道

 電子カルテを自分は持っていないのですが,電子カルテをPDF 化が出来ると大分風通しが良くなると思うのです.

 この前,開業している友人・・・彼は電子カルテを使っているのだが・・・業者が電子カルテの更新を言って来たと酒を飲んでぼやいていました.

 大体,5−6年おきに更新の要請,というか,命令 が来る.
 
 従わなかったら,今まで書き溜めたカルテがダメになる.電子カルテを使ったら業者に従わざるを得ないのです.それが現実です.

 電子カルテの業者もこちらに近づく時には恭しく召使いのようにやって来て,優しい言葉をかけてくれますが,一度電子カルテを入れてしまったら最後,もう我々は離れられないのですから,調子が良くなりますね.
 営業の人によってはかなり傲慢,尊大になる方もいらっしゃるみたいです.


イメージ画像


 さて,それもこれも,電子カルテの内容を,業者の指定するソフトを使わないと見られないからで,何とか,例えばPDFにでもすることが出来れば何でもないことなのです.

 自分が思ったのは・・・例えば,電子カルテを印刷する事は可能です.ならばコピー機の方で印刷する前にPDF化が出来ないのか,と.
 コピー業者に尋ねてみましたが、今のコピー機は、コピーした瞬間にデータが消えるそうです。そうなっているようです。
 コピー業者が言うには,全部印刷して,そのあとそれをスキャンすれば良い,と.
 しかし,電子カルテを印刷するとすごい量になる.

 1ヶ月くらい入院すると紙カルテなら100頁くらいになるのであるが,これを電子カルテの場合は印刷すると,一抱えくらいになる.なんでこんなことになるのか分からないが,そうなる.
 それをスキャンするのは自炊スキャンと言えども大変だし,紙の無駄も多い.

 そのような時に,ITに精通した知り合いのドクターから貴重な意見を戴きました.

 PDFドライバーなるアプリがある,と.何種類もあるそうです.フリーソフトです.
 通常、どの電子カルテにも、入力内容をプリントアウトする機能がある。プリントアウトする際、 PDF ドライバーを組み込んでおれば、、1ボタンで PDF に出力できるとのこと。

 この方は,10数年使い続けた電子カルテを最近乗り換えたそうであるが,このやり方でカルテ内容を全て抽出したそうです.ただし,量が膨大ですから,抽出に1週間かかったと.
 でもその位で抽出出来たら大したものと思います.

 私もコピー機を最近入れ替えるのですが,いろいろな医療機器から印刷しなければならない.それをコピー機で一括してやるにあたり,やはりPDF化というものが避けて通られない.

 コピーの営業の方は事も無げに言っておりました.
 そのPDFドライバーというか,PDF化するソフトを使って,PDF化してそれを,USBに入れてコピー機に差し込み印刷すれば良い,と.その会社で推奨するアプリもあると.
 また,この使用状況もいずれ紹介したいと思います. 

 私は電子カルテを使っていないので,電子カルテに実際にこのPDFドライバーを使用する事は当面無いのですが,電カルの業者に横暴に振る舞われてお困りの先生方は鋭意お調べしてみるとよろしいかと思います.



なるほど,「PDFドライバー」と検索するとゾロゾロとフリーソフトが出て来る.


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美術個展の紹介 わこちゃんがいっぱい

美術個展の紹介

 私も,今度の18(日),19(月)で東京に行くつもりです.

わこちゃんがいっぱい



http://www.flewgallery.jp/access/

フリュウ・ギャラリー FLEW GALLERY

〒113-0022 東京都文京区千駄木1-22-29 白石ビル1F
Tel 03-5685-6840
Mail info(@)flewgallery.jp  *(@)は()を取ってください

開廊時間 12:00-19:00(最終日15:00終了)
休廊日   木曜日


http://hashiwako.wixsite.com/hashimoto-wako

2017年3月15日水曜日

電カル 保守点検料も莫大

こんばんは

 電子カルテについていろいろ語っています。

 しかし,電子カルテという新しいものに関してはいろいろ慎重に考えていくべきであるな,とは思うのです.
 むしろこのようなものは,後攻めの方が有利ではないか,と思っています.

 ダイナミクスとかは,自分で出来たら非常に安く運用できるのですが,なかなかそうは行きません.
 電子カルテをひとりで使いこなせるという方は相当の強者です.
 というか,如何せん我々には時間がありません.
 その合間を縫って、電子カルテを修理していく、というのはまさに神業と言えましょう。
 
 故に業者に何かあったと,さっと来て頂かないといけない.
 すると所謂「保守点検料」というものが発生する.

 400ベットクラスの病院の院長先生が1年で5000万くらいすると言っていました.
 400ベットクラスの病院にとってこれが安いのか高いのか,私には分かりませんが,電子カルテと言うものは見えるお金が出て行きますね.
 これは痛いものです.見えると痛みの閾値が下がります. 

 電子カルテで人手を減らせる、とよく言うが、5000万となると、年収250万クラスの事務員を20人減らすことが出来る勘定になる。そんなことが出来るのか。そして、5年に1度くらい、電カルの更新が来る。400床クラスの病院なら、1ベッド100万とも200万とも言われているから、4億から10億の金が必要となる。あまりに大きな数字である。

 大きな病院で電子カルテをかつて使っていた友人にお聞きした所,「いい点も沢山あるが,値段が高過ぎる.そして何かあったら,お金を10万単位,100万単位で毟られる(むしられる)」と言っておりました.
 
 あと,ものすごく早くワープロを打てる若い先生もいるのだが,「誤字脱字が多過ぎる,」と.「でもあとで内容が分かれば良いのだし,打ち間違いです,」と言えば良いのだから,と言っておりました.

 しかし,それでは美しくはないね,と私はコメントしたところ,首肯されておりました.

 もう数十年前,駆け出しのころ,知り合いのベテランの開業医の先生のクリニックを見学させて頂く機会を得ました.
 この先生,19床の診療所を無床診療所に建て替えるとのこと.
 カルテ庫も見せて頂きました.

 カルテ庫には,カルテがきちんと保管されておりました.
 それが非常に「美し」く,まるで博物館の陳列品の様に見えました.
 蚯蚓(みみず)の這ったような字でも,悪筆でも,長年蓄積したカルテというものは,その先生の苦労と努力が迸っているような感じがして,「美しい」と思わずにはいられません.

 そのようなことも大事だと思います.


註)首肯 しゅこう 首を縦に振って肯定すること 1級出題漢字



カルテ庫


http://blogs.yahoo.co.jp/nicu_sp25/GALLERY/show_image.html?id=13813667&no=7

 入院患者さんのカルテだそうだ。このようなものも自炊スキャンをすればすぐに空にすることが出来るのだが。

 しかし、写真からは分からないが、きっと頑張った患者さんの記録がぎっしりと詰まり、荘厳な雰囲気が漂っているのかもしれない。

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電子カルテとは何か

今日は  

電子カルテについて私が話題にするのは,以下二点を危惧するからであります.

 1) 電子カルテが義務化される動き  個々人の裁量を国が強制してどうする.これはファッショです

 2)電子カルテを使わないのは時代遅れである という雰囲気

 ・・・・・・・・・・・・・・

2)に関してですが,電子カルテは一度契約したらその業者の言いなりになります.他に移る選択肢がない.
これを奴隷化、隷属化 と呼びます。
これに関する対策としては,電子カルテの記載事項が,ボタン一つでPDF化されると良いのです.
 この技術は業者はもう持っていると思います.そんなに難しいことには思えない.

 でも絶対に公開はしない。

 そんなことをしてしまったら,奴隷化出来なくなるではないですか.だからやらない.
 
 そのような邪(よこしま)なものが電子カルテにはあるのです.

 このようなものを「進んだもの」とは言いません.
 邪悪なものです。それが電子カルテの使い勝手を非常に悪いものにしているのも事実です。

 これについては,電子カルテを使っている人も,使おうとしている人も,紙の人も,電子カルテの業者を見たら「PDF化できないの」と言い続ければよいのです.そしてら根負けしてPDF化ができるようになります.
 
 PDF化ができないと電子カルテはダメです.先ず第一にカルテの保管義務がある.これを果たせない.

 裁判になって,カルテの提出を求められたときに,「業者が馬鹿だからカルテがなくなった」では済まされない.
 (註:電子カルテの業者を変更した場合、前の電子カルテの内容を新しい電子カルテには移行できない。故に、前のコンピューターを置いておいて、必要なときには見ることになる。しかし、このコンピューターが故障すると、永久に見られなくなる。悲劇である)

 場合に寄ってはこちらだけが痛い目に遭うことになる.

 このような重要書類は,普遍的なファイル形式で持っていないとダメです.
 
 私ごとですが,かつてEG Wordというワープロソフトを愛用しておりました.

 気がついたらいつの間にかなくなっており,このワープロで書いた記録,日記は現在死蔵されてしまいました.

 コンピューターはこのようなことが簡単に起こります.

 故に,普遍的なファイル形式で保管するのが,肝要です.

 今の電子カルテのあり方は,業者の欲得のためにこの点で大間違いをしております.

 まあ,この2点を強調したいと思っております。


 電子カルテが便利か、便利でないか、というより、電子カルテの時代かな、と不安に思いながら紙カルテを使っている先生方のひょっとしたら、ささやかながら力になれたらと思い、この一連の記事を綴っております。

電子カルテを問う 目次


私のスキャンしたカルテの整理の方法

今日は

 今日は,スキャンしたカルテの整理方法について述べます.

 検索をかけても出てくるのですが,なかなかちょっとしたことで出て来ない場合も実際にはあります.

 私の方法をご説明します.
 



 電子カルテ庫というホルダーを作ります.


 カルテ番号の下2桁で分類します.
 つまり,00, 01, 02, 03・・・・・98, 99 というように100個のホルダーを作ります.

 そのホルダーに,スキャンしたカルテを入れていきます.
 たとえば,43のホルダーなら
 カルテ番号 0043, 0143, 0243, 0343・・・のカルテが入ります.



 今まで,1万件のカルテをスキャンして整理しました.
 スキャンは300dpiで行いました.
 それで大体70ギガバイト.
 コンピューターにとってはまったく無理がないものです.

 まあ,このように整理しています.

電子カルテを問う 目次

2017年3月14日火曜日

永遠の保存をjpgで目指す

永遠の保存をjpgで目指す

 先日の患者さんのことです。

 久しぶりであったけど、骨粗鬆症の検査がしたいと。
 行いました。結果を発表しようとすると、前もここでやったことがある、と仰る。
 えっ、と思い、カルテをひっくり返すと、1ページ目に、「平成15年に受診歴あり」と書かれてある。

 迂闊であった。平成15年から来られていなくて、また再び平成25年から来られている患者さん。
 「平成15年に受診歴あり」とは、平成15年以前のカルテは捨てた、ということである(当院は平成13年開設)。

 しかし、小生も「札幌骨粗鬆症クリニック」なんて名乗っている手前上、前のデータがない、とは言っていられない。
 すぐ目の前のiMacで当院の電子カルテを作動。
 この患者さんの昔のカルテをカルテ番号から素早く見つけ出した。
 もちろん秒殺である。
 見ると、この時にはまだ、カメラで撮っていたもの。

 しかし、そこに確かに存在している。
 見ると、平成13年から15年まで来られている。
 「前にここのクリニックに帯状疱疹でかかったこともあるのですよ」と患者さんは仰るが、それもカルテに書いてある。
 また、骨粗鬆症の検査を3回もしている。
 このデータもカルテに書いてある。
 
 患者さんに、過去3回のデータと今日のデータを比較してご説明した。
 骨密度が豊富な方で、あれから13年くらい経ているが、幸いあまり骨密度は変わっていない。
 患者さんもその結果に嬉しそうであった。
 骨粗鬆症の薬も特に必要としなかった。

 患者さんも、ずっと前のデータと比較してくれて、ご満足であったと思うが、自分も「良い仕事ができた」と思い、非常に満足であった。

 古いデータは法令に基づいて捨てたって良い。落ち度ではない。
 しかし、私の主任教授が口を酸っぱくして仰られていたように確かにカルテは財産である。
 ものがなければ何も始まらない。それを残すことができて本当によかったと思う場面であった。

 思うに、今の科学水準で確実にカルテを保存するのには、紙に書いてそれをカメラで写真に撮るか、スキャンをするか、そして、PDFかjpegの様式で残すのが最も確実だと私は思う。

 電子カルテの業者の特殊なファイル形式では、手元に残りません。
 多分消滅する。
 業者と喧嘩したらそれで終わりだし、忠義立てて使っていても、消滅するときには消滅する。

 データを永遠に(少なくても自分の目の黒いうちは)残したければ、今の汎用性のあるファイル形式で残さなくてはならないだろう。
 具体的に言えば、jpg,  pdf, などである。
 この形式だって、いつまであるか、本当に分からない。
 コンピューター業界は本当にめまぐるしく変わる。
 でも、jpg,  pdfだったら、大丈夫ではないかな。


 それが今のITの偽らざる実力であり現実であると熟(つくづく)思うのである。

電子カルテを問う 目次


付録

動画と写真で確認する――裁断&スキャンのコツ(スキャン編)
http://www.itmedia.co.jp/bizid/articles/1006/28/news071.html

私の電子カルテ作成の試み

本日の話題
電子カルテ作製の試み・・・・・・・・・・・・・

 実は、去年の丁度今頃(厳密には平成28年1月ころ)、電子カルテの導入を実は真剣に考えていた。
 業者のものは使わない。
 値段が高すぎるし、不便そうだから。
 今の電子カルテは手書きが弱すぎる。

 故に電子カルテを自作するのである。
 暴虎馮河の極みかもしれないが、当時は大真面目で気持ちもノッテいました。
 忘年会に皆に見せて自慢していましたが、反応は芳しくなかったです。

 ともあれ・・・・
 この時、Surface Pro4発売 私はMacユーザーではありますが、なにやら私は未来を感じましたね。

 Surface Pro4を用いて、手書きの電子カルテを作成する。
 Power Point画面で入力。
 Windows用のPower Pointは手書きが出来るのである。
 もちろんオーダリング機能はない。
 まあ、リアルタイムで外来と事務で見ることができれば問題ないだろう、と考えた。
 会計が早めにできるではないか。

 かなりいろいろ進めて作ってみた。

 職員にも言って、もう明日にでもやるような感じになった。

 しかし、辞めた。

 辞めた原因はいろいろある。
 そして電子カルテに関していろいろなことが分かった。
分かったこと。
○ Power Pointの動作が安定しない。
 カルテの容量が多くなるとすぐに動かなくなる。

○ 字がでかい。
 A4カルテに書ける量をSurfaceの画面でも同じくらいの大きさなのだから書けるかと思ったら書けない。
 字が大きくなりすぎる。解像度が紙と違いすぎる。
 紙は8K。Surfaceはフルハイビジョン。1K. 
 当然であろう。

○ Surfaceを中心にやろうとしたが、落下による破損の恐れがある。
また、Surface penも脆弱である。実際に1本落として壊した。
これで九千円である。ボールペンなら百円だ。違いすぎる。

○ コンピューターが意外と嵩張る、場所取りであると言うことが分かった。

○ 無線LANでやろうと思った。これが遅い。
リアルタイムでやりとりができるのかと思ったら、とんでもない。
開くのにさえ時間がかかる。これでは使えない。
 まあ、もう少しやったら、もっと上手くいくのかな、と考えているが。

 自作でやるにしても必要なコンピューターを揃えると優に150万はかかる。
 スペックもまだまだである、故に今の紙カルテを全然凌げない。
 とすれば、とてもやっていられないだろう、という結論に達した。

 率直に言えば、今の電子カルテも同様なものではないだろうかな、と思っている。

 自分の試みと違う点を挙げるとすれば、今の電子カルテのベラボーな値段。
 
 そして、自分の試みでは、Power Pointのファイルで残せるが、今の電子カルテは業者の特殊なファイルしか残せない。
 これでは、近い将来、カルテが手元に残らない。
 業者と喧嘩をして電カルの業者を変えたら最悪なことになる。
 結局、自分たちが風下に立っている。
 風下に立つのは絶対にダメです。

 WindowsもOSのバージョンが10年、15年で10回ほど上がってしまうと、BMLがそうであったように、同じメーカーの後継の電子カルテであるに関わらず、データの移行すらできなくなる。

 データ移行によほどお金をかけるか(業者に依頼する。これも業者の飯の種なのであるが)、院を挙げて自分らで膨大な手作業をするか、前のコンピューターを暗い部屋に置いておくか(場所取りの王様になる 4畳半くらいの部屋がいるだろう)しかない。
 そうしないとデータを残すことは出来ないだろう。

元々、コンピューターのバージョンアップに係る措置とはそのようなものではないだろうか。 
 OS自体が10数年に渡り何回もバージョンアップしたら、やはりフォローしにくくなるものではないだろうか。

 このようなことは業者の技術力にかかるとは思うのですがね。
 やろうと思ったらやれるものなのか 
 

 BMLにしても苦渋の決断であったことは、私にも分かります。


電子カルテを問う 目次

医療制度で電カルを強制するな

こんばんは

電子カルテなんか使いにくくてダメ,とか,紙カルテは遅れてる,とか言う考えは間違いと思います.

ここには皆様も賛同して頂けると思います.

 続きます.

 しかし,声高に言っている人がいます.

 先月放送された  ”医のこころ” という番組で阪大医療情報教授の 松村氏

 この教授だったか誰だったかは忘れましたが,ITに乗り遅れた医者は淘汰される,と仰る.
 「ITに乗り遅れた医者」とは何かな? と思ったら,電子カルテを使わない医者だと言う.

 正直に言って,非常に驚きました.そんなのは医師の質とまったく関係ない.

 紙を選ぶか電子を選ぶかはその医院,医院,病院,病院の裁量と思っていましたから.

 実際は逆で電子カルテを使う医師は患者の顔を見ないので患者からはその点は嫌われるようである。
 コンピューターばかり見て話をされたら、誰だって気分が良くないだろう。
 
 しかし、当の電子カルテを使用する医師もそんなこと言っていられない。
 仕事が終わらない。
 ワープロでミスタイプしたらカーソルを合わせて打ち直し、また、選択された漢字が違っていたら、また、コンピューターの画面を見てカーソルを合わせて打ち直さなければならない。
 はっきり言って、患者の顔なんか見ていられない。

 しかしですよ・・・
 制度上そうも言っていられなくなって来たみたいです。
 
 電子カルテは,制度の上で大きく強制される様になってきました.
 
 1:7看護では電子カルテが必須のようです.

 その流れが10:1看護にくるのか? 次回の改訂で盛り込まれるのか?

 10:1看護の病院の経営者は戦々兢々としています.
紙カルテを使っている 10:1 看護の病院の経営者にしてみると・・・
 電子カルテがあまり便利なようにも見えないのに関わらず,一度やると後戻りができにくい.

 病院のシステムに深く関わりますから.

 そして,なにしろ,電子カルテは値段が高い.病院経営そのものを揺るがしてしまう.

 我々、正直に言って、患者さんを治すので精一杯です。
 電子カルテなど強制はされたくない。

 ということは政府の人は聞いてくれないみたい。

 今度は地域包括ケアです.
 
 よく分からない制度です.

 これに関わるには,電子カルテが推奨されているようです。
 (しかし、私が調べたところによると、まったく必要ない).

 声を大にして言いたいのは,医療制度の制度設計に電子カルテを絡めるな,ということです.
 
 あくまでもどのようなカルテを使うかは医療機関の裁量であるということ。

 これはしっかりと言っていかなくならない,皆様にも周知していただかなくてはならない,と強く思っております.


 それがこの記事を私が書き続ける目的です.

 

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2017年3月13日月曜日

カルテをパラパラと見て、その患者さんの病歴をざっと見るのは紙カルテの方が圧倒的に電子カルテより有利

カルテをパラパラと見て、その患者さんの病歴をざっと見るのは紙カルテの方が圧倒的に電子カルテより有利


 電子カルテに長所,短所があるようですが,一人の患者さんの状況を時系列で見るのは紙の方が強い様に思えます.
 パラパラめくるだけですからね.


 パラパラめくる・・・
 むしろ,なぜ電子カルテでこのような単純なことが出来ないのか,不思議です.
 スクロールというのも手間ですが,スクロールで見られるのならまだ良いみたいです.

 その日,その日をクリックしないと,その日の状況が見られないものもあるようです.
 
 私に言わせれば,沢山の写真を見る時に,一枚一枚見る事はしないですよね.
 同時に100枚くらい開いて,Macで言うと「プレビュー」というアプリで,→を押して行けばどんどん見られる.
 このように電子カルテも時系列で見られると良いのですがね.
 このようなソフトを作るのは簡単だと思うのすが,そのような話を聞かないです.

 私のスキャンしたカルテもそのような感じで,プレビューを用いて容易く見られます.
 スピードも紙カルテをパラパラ見るのと変わらないです.

 まあ,普通の紙カルテの様に,時系列で単純に並び,そこに所見,指示,そして,他科のドクターへの御中のお手紙とそのお返事が書いてあるのを,パーッと見られたらそれで良いのですが,そのような話を聞きません.

 良くてスクロールでヌルヌルと見る(紙カルテの頁をめくるより,ちょっぴり時間がかかりそう.
 悪くすると,その日,その日をクリックして記事を見る,
 もっと悪くすると,他科の先生の返事は電子の海に埋没して二度と見られない,とか.
 使い方を知らないだけ,と言えばそれまでですが,そのような話が多すぎるのです.

 近くの往診によく行く病院では,私がお返事をプログレッシブレポートという所に書くと看護婦さんがすかさずプリントアウトします.
 担当医にお見せする為です.

 紙カルテなら,カルテをめくると小生のお返事も出て来る.
 電子でも,本来ならその担当の先生がカルテを見ると見られるはずである.

 電カル導入当初,他科の医師の「お返事」は,電子の海に沈み二度と日の目を見る事がないことが多かったそうです.
 そこで,全てを諦めて,業務的に返事が出たらすぐにプリントアウトすることにしたそうです.

 電子カルテなんかダメ,とか,紙カルテは遅れてる,とか言う考えは間違いと思います.
 ここには皆様も賛同して頂けると思います.


 私は,電子カルテとは何か,その長所・短所を紙カルテと比較して闡明(鮮明)にしてゆきたいと思い,このような問いかけをしているのです.

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電子の海に沈むと二度と浮かんでこない

電子カルテで、カルテのデータは本当に永続的に保存できるのか?


 電子カルテの話題,、今回は.電子カルテはデータの保存が本当にできるのか、です。

 私が懐疑的に思っております。.

 紙カルテの保存性に疑う余地はありません.

 院が火事になるか、自分が保存を諦めて捨てる,と言ったら,その時点で保存は切れますが,それ以外は保存されています.

 一方の電子カルテはどうでしょう.
 
 電子カルテというものは、5-6年毎に更新せざるを得ません.
 そのように業者から容赦なく要請がきます。
 パソコンが古くなったとか、OSが古くなったとか言われます。
 一度,とある業者の電子カルテを使ったら,更新毎に言う事を聞かないといけません.
 
 他の業者に変えたら,とにかく,互換性がないので,手作業でひとつひとつ新しい電子カルテに移行していくことになる.

 大変な作業です.

 同じ業者のものを使い続けると,互換性があるし、何よりも業者がちゃんとやってくれるのでその点は問題がないようです.

 しかし,そうとも言っていられないのが現実です.

 3年ほど前,電子カルテの大手で老舗のBMLは新しいバージョンの電子カルテでは以前のバージョンのものとの互換性を失くしました.
 OSもドンドン変わるし,互換性を維持出来なくなったのでしょう.
 聞く所によると,カルテの移行に1件あたり2万円ほど要求したとか・・・・クリニックでは,約400-500万ほど請求されたと聞いています.
 BMLもこんなこと言っちゃったらこれは詭弁ですよ.
 保存性は無償で保証しないといけない、と思う。
 同じメーカーのものをつかってもこのような事が起こるということが明らかになりました.

 おそらくどこのメーカーでも遅かれ早かれ似た様なことが起こると思います.
 コンピューターのOSのバージョンアップとはこのようなものではないでしょうか.
 故に,永久の保存を目指すのなら,電子カルテならPDFファイルとか,汎用性のあるファイル形式で保存しておかなければいけないものと思います.
 そうしないと,業者の言う通りにやっていても10年位で,保存ができなくなるような気がします.

 そもそも,電子カルテと言うもの.その記事をPDFにボタン一つですることは出来ない物なのでしょうかね.

 簡単に出来ると思うのです.
 でもそのようなことは寡聞にして聞いた事がありません.

 そうすれば,カルテの移行もなんの問題もないと思いますがね.

 業者が自分のところの電子カルテを使い続けさせるために,このような機能を敢えて搭載しないとしたら,それは問題だし,第一に不備にある電子カルテと思います.

 私なら電子カルテに移行を検討する場合に,このように内容を,PDFファイルに簡単に置き換えられる機能を付いたものを選びたいものです.


 そのようなものが存在するか,どうなのか・・・ですが.


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カルテの置き場所:電子カルテの大きなメリットが崩れた

電子カルテの大きなメリットの一つに,場所の節約があります.
 つまり,カルテ置き場がいらなくなる,というのものです.

 しかし,ITの進歩により,その優位性が失われつつあります,と私が申し上げたら,意外でしょうか.
 ITの進歩は電子カルテにもプラスに働きますが,意外な事に紙カルテにもプラスに働いているのです.

 スキャン技術の進歩です.

 当院では,古いカルテをスキャンして保存しております.
 スキャンも最近は50頁くらい一気に出来る様になりました,
 所謂,「自炊」です.


 これでカルテをスキャンして保存しております.

 初めは,紙カルテをデジカメで撮って,それを保存していました.
 なかなか大変な作業でした.
 今,開院して15年目ですが,7年目くらいからデジカメでやっていました.
 去年から,このスキャナーを導入.
 作業が一気に捗りました.今まで7年くらいかけてやっていた量を1年でできました.
 5年間来院していなくて,捨てられるカルテはすべてスキャンして捨てました.

 開院して15年経ちますが,カルテは全て保存しておりいつでもすぐに見られます.

 カルテ庫は必要ですが,昔の様にズルズルと拡がって行くことはありません.

 カルテを保管するスペースは,事務の後ろにカルテを置く所があり,そのほかに,5-6畳のスペースにあまり来なくなった人のカルテを置いています.
 去年,大規模にスキャンをして,5-6畳のカルテ庫のスペースにかなり空きができました.
従来であれば,カルテをすべて保存したい,となると,カルテ庫,カルテ置き場がズルズルと増えて行き,そのうち院長室の本棚もカルテ置き場になり,どうも収集がつかなくなるのが常でしたが,そのようなことはありません.

 これも一つのITの進歩故だと思います.


 という感じです.

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電子カルテか紙カルテか もっとも大事なこと

電子カルテのメリットとデメリット
・・・・最も大事なこと

 



資料 電子カルテ導入のメリット・デメリット  中央ビジコム より

電子カルテ 紙カルテのメリット、デメリットは上述のように語り尽くされております。

 項目で書くと、だいたい同じくらいの量となります。

 まあ、この表に私なりに物言いをつけると・・・
 電子カルテでも、カルテ棚が必要です。
 すべて電子にはできません。
 書かなければならない書類。
 他の医療機関からの書類をファイルしておかなくてはならない。
 これらはスキャンすれば、電子カルテの方に入れてしまえるのであるが、スキャンは事務の人の手の空いている時にしなくてはならない。
 手書きの書類もまだまだ沢山ある。
 そのような意味で、カルテホルダーは電子カルテでも必要です。

 しかし、私はここで、我々の業務で一番大事なこと、そしてそれを遂行するのにカルテをどのように使うのか、ということについて述べたいと思います。

 我々の仕事場 結局は、火事場のようなものだと思うのです。

 火事場の消防士 です。

 須臾を争う(しゅゆ:一刻を争う)救急室でも、混み合う整形の無床診療所の外来でも、火事場のようなものなのです。
 

 我々は、火事場で火を消す消防士みたいなものです。言うまでもなく、迅速に診察して、必要な検査をして、処置をしなくてはならない。
 それを適切、的確にカルテに記さなければならない。
 場所は火事場ですから、カルテの記載も迅速に行う必要がある。

 それ、つまり迅速に患者さんを診て、カルテに記載する、ということが一番大事なことだと思うのです。
 あとから、他の医師が見て読みやすい、とか、裁判所に提出しても、皆が読める、とか、それも大事なことでありますが、あくまでも第一は、火事場で火を消すことです。
 そして実際のところ我々医師はそれで手がいっぱいだと思うのです。
 
 火事場では、やっぱり、紙にさらさら書くのが、タイプを打つよりずっと早いのではないでしょうか。
この最も大事なことで、紙カルテが圧倒的に電子カルテに優っていると思うが故に、私は、未だに紙カルテを使い続けているのです。

 もちろん、事務職員がカルテを出したりしまったりする作業が電子カルテではなくなる、とか、あと、会計が早い(電子カルテの場合は医師がカルテを打ち終わった時点で、会計終了ですからね)のメリットも大事と思います。

 総合的にこれらを計りにかけつつ、皆様方もお仕事をされていると思います。

 故に、私はここで別に電子カルテを誹謗するためにこのような記事を書いているのではないのです。
 ただ、この時代に生きるものとして、電子カルテか紙カルテか、ひとつのこの歴史の大きな転換点を分析したいと思うのです。

 この点を是非ご理解いただければ幸いです。

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紙カルテの解像度は8K相当 電子カルテの画面は1K です



 電子カルテと紙カルテを比較します。

 紙カルテを、電子カルテ的にその性能を評価してみましょう。

 A4の紙カルテをさっと開くとA3になるわけです。

 言うなれば、これはA3の画面です。だいたいこれは24インチモニターに相当します。

 しかもその解像度。

 今の電子カルテの画面はフルハイビジョンが主流です。1Kです。

 今、テレビは4Kが主流となりました。故に電子カルテの画面もこれから4Kが続々と出てくるでしょう。


 でも紙カルテは8Kです。解像度が全然違うのです。

 また、外来で、もちろん医師の前でカルテは開かれているし、そのほかに処置を有する患者さんのカルテが、処置台に3-4冊開かれているものです。

 紙カルテを使用する外来では、当たり前のように、A3サイズの高性能8Kの細密画面が同時に4つくらい開かれているのです。

 しかも、この画面、全部タッチパネルなんです。

 タッチパネルだから、20ページくらいのカルテもパッパとめくり15秒もあれば情報を取れる。

電子カルテはここまでタッチパネルの性能はありません。スクロールが主体です。これが性能の違いなのです。

 「電子カルテはザーッと見ることができないんだ」と皆、一様に言いますが、それはこの性能の差なのです。

 ここまでは今のITは来ていません。私がスペック不足というのはここなのです。


 また、紙カルテは落としても壊れません。堅牢なのです。

 札幌市内のどこやらの病院で、看護婦さんが回診中にタブレットの端末を持って患者情報を取りながら回診していたそうです。

 それを、うっかりちょっと落としたら、壊れました。

 なぜかそのタブレットがその病棟の主力のものだったらしく、その病棟業務が大混乱に陥ったそうです。

 業者にお願いして、タブレットの情報は取り出せてことなきを得たそうですが、このようなデータの復旧 金がかかります。

 壊れたタブレットの代替え機にも金がかかったでしょう。

 電子カルテの欠点はこの脆弱性です。

 もちろん据え置き型のものなら落とす心配はないですが、やはり時にはタブレットや小型PCで持ち歩いて業務をしたいですよね。
 すると、落とす、という危険性がある。これは無視できません。


 逆に言えば、このくらいスペックが上がると、電子カルテが紙カルテを駆逐することになると私はみています。
まず、8Kモニター(テレビ)は東京オリンピックの時には、商業ベースに乗るそうです。これはわずか3年後です。


 それがタッチパネルとなり、すごく軽く、堅牢になる日もくるでしょう。

 すごく軽くて堅牢 というのが技術的に難しそうですね。


 でも、10年で解決するかなあ。

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電子カルテを問う・・・今はまだコンピューターの性能が足りない HDの容量

2. 電子カルテのスペック ハードディスク(HD)の容量
 電子カルテを使っている先生方がよくボヤかれることに、最初はサクサク動いているのだが、使っていて年数が経つとやたら動作が重くなる、というのがあります。

 これは単純に言うと、データがだんだん溜まってきて、ハードディスクの容量に余裕がなくなってくるからです。

 メーカの人は最初、売ろうと思って良いことばかり言うものです。
 電子カルテ上に、写真もビデオも貼り付けられる。便利でしょ、みたいな。

 でも、そんなことをしたらすぐハードディスクの量が満杯になり、動きが非常に遅くなります。だから、電子カルテをお使いの先生方は、写真を載せるのは所見のあるものを最低限、ビデオなどとんでもない、という考えで約やか(つづまやか 表外読み)にお使いになっているみたいです。

 でも、時間が経つとハードディスクの容量いっぱいとなり、電子カルテの動作がもたつくのは避けられないようです。

 結局はこれもスペック不足と思うのです。

 しかし、ハードディスクの容量はどんどん大きくなっている。

 思うに私は1990年にMacintosh IIciを買いました。当時、だいぶ安くなった、と言いつつも70万円でした。実装ハードディスクは100MB随分と巨大で頼もしく思えたものです。
 それから、4年後くらいでしょうか。知り合いが、Macintoshの新型機種を買うと、実装ハードディスクは500MB. 大きくて大きくて、二人してたまげたものです。

 しかし、時の経つこと25年。今や、2テラ、3テラが標準的となりました。

 計算すると、約5年で10倍強になっています。

 故に今のコンピューターだって、あと5年もすれば、実装ハードディスクは10倍になる。
 
 すると電子カルテで、容量が大きくなって、数年経つとモタついてくる、というのもなくなるのではないでしょうか。

 5−6年に1回の買い替えは今まで通り業者は強要してくるに間違いないですが、モタつきの問題は解決するのではないでしょうか。


電子カルテを問う 目次


結論:やはり今の電子カルテはいろいろな意味でまだスペック不足。しかし、5−6年で実装ハードディスクの小ささによるモタつきの問題は解決するでありましょう。