2017年7月14日金曜日

八重山の島言葉の理解 と 英語

おはようございます。

 今日は、言葉の話題。最後に文法軽視の最近の英語教育、それを指導する財政諮問会議の三木谷こそけしからん、という話で終わる筋書きであるが。

 趣味として、三線・八重山古典民謡をやっている。
 
 これをやる上で避けて通られないのが、言葉である。
 
 つまり、八重山の言葉、石垣方言 をどうするか、である。

 沖縄本島も手強い方言を使うが、八重山はもっとディープである。

 沖縄の言葉は日本語と奈良時代の少し前に分離したと言われている。

 故に、古語に似ている。古語は、平安時代のものを主にしている。

 沖縄の言葉はそれ以前に分離し、またそこで独特の変化、発展をしている。

 とは言え、八重山の言葉は日本語とは親戚関係にある。

 語感が似ているし、言葉の変化、特に動詞の変化も似ている。聞くと、そのような感じなのかな、と思う。英語のように、冠詞があるわけではない。

 文法上、難しいのは、日本語もそうであるが、動詞の語尾の変化である。これが助動詞や助詞と結びついて変化する。これが難しい、


 例えば、「走る」(はしる・・日本語)は、八重山言葉では「ぱしるん」漢字を合わせて書くと「走(ぱし)るん」 なるほど日本語と似ている。

 さて、これがどう変化するのか。

 日本語でも、「走る」は、以下のようにいろいろ変化する

 走られる(未然形 可能を表す)

 走った(過去)

 走ってしまった(過去完了)

 走る時(時という名詞に接続するから連体形)

 走った時(過去の連体形)

 走り登る(走る と 登る という2つの動詞が重なっている。動詞に重なるのは連用形)

 走ります(「ます」という丁寧な助動詞 これに繋がる連用形)

 お走りになる(尊敬語)

 走ってみよう(自発を表す 志向形)

 などいろいろあり、それぞれに文法の名称がついている。

 では、八重山の言葉で「走る」つまり「ぱしるん」はどのような変化をするのであろうか。



図1 ぱるん(走る)の変化

このようにいろいろな変化をしている。

 これが、言葉の難しさであろう。

 日本語、八重山言葉の共通して持つ難しさである。

 これを小さい時から八重山で育ち、この言葉を使っていると、自然に身についてこのような変化が自然にわかるようになる。

 しかし、八重山で生まれ育った人以外は違う。ではマスターするにはどうするのか?

 この、変化する仕方に何がしかの法則性はないか、ということになる。

 それが文法なのである。

 まず、表を改めて見ていただきたい。

 「ぱしるん」をいろいろ分けて見た。

 まず語幹である。ここは変化しても変わらないところ。

 語尾、接続語句 も変わらない。

 変わるのは、「変化部」である。これが「ぱしるん」の場合には「ラ行」で変化するのである。

 この動詞の変化の仕方に基づいて八重山出身の文法学者の宮城信勇先生は「石垣方言辞典」の中で

 しかし、ここに何か法則性はないのか。この法則性こそが文法である。これが分からないと全部の動詞のいろいろな変化を一つ一つ探らないとマスターができないことになる。もちろん適当に、雰囲気で、で出来るわけがない。

 八重山の言葉の動詞に関しては、動詞の変化は15通りに分類されている。
 15通り、といっても頻繁に使われるのは5通りくらいのもので、あとの10種類は、例外的な変化をする動詞である。ひとつの分類に該当する動詞が一つしかない、というものもあるのだ。(例えば、第9類 は、「ある」という意味の「あん」しかない)

 文法というものは一見面妖ではあるが、ある種のリズムがあり、慣れてくると動詞を見たら、その原形の予想がつき、すると、どのように変化するか、その分類がわかるようになる。私もまだ、八重山の言葉をこのように勉強したのは、ここ1ヶ月くらいのものなので、ここまでは行ってはいないが、もう1ヶ月くらいこのようにやっていけば、そのくらいになるのではないだろうか。

 最近、英語のお勉強のことで、政府のおエラ方が、英語は文法を覚えずに雰囲気で掴むのが良い、みたいなことを言っている。また、それに乗じて、スピードラーニングのように「英語の文法は勉強するな」とまで言い切って宣伝しているものもある。はっきりいうが真っ赤な嘘である。改めて最近八重山の言葉を勉強して、語学をマスターするにあたり文法こそがもっとも重要であることを再認識させられた。

 さて、実際の歌で見ていこう。
 取り上げるのは、八重山古典民謡の代表的傑作 鳩間節

図2 鳩間節 歌詞とその意味


 実際の歌はこちら



さて、漢字でも書かれているし、言葉も似ているので、何となく分かる。

 なるほど、日本語と八重山言葉は親戚の言葉なのである。

 しかし、これを徹底的に分かるにはやはり文法を使い解析を試みなければならない。

 単語、特に名詞は簡単である。「下」は「すぃた」というのである。それだけである。

 動詞も似ているから分かる。

 「ぱりぬぶり」は「走り登り」である。

 今、徹底的に妥協のない完全理解のためにはどうしたら良いか。

 単語を見る
 
 名詞は簡単。

 まず、鳩間中岡(はとま なかむるぃ)。
 鳩間中岡(はとま なかむるぃ)とは地名である。鳩間島は周囲4kmの小さい島。サンゴ礁の島で隆起はないが、島の中央の一番高いところは海抜30m。くばの林が美しく生い茂ったところである。


鳩間中岡

 
 結局、この「ぱりぬぶり」を理解しなければならない。あと難しい語はない。

 走る、を意味する「ぱるん」が、なぜ「ぱり」となるのか?

 動詞の「登り」に繋がるから、連用形となる。表を見ると、「連用形1」に「ぱり」とある。これである。

 「ぬぶり」も同様の変化。1Aの変化動詞。

 歌の終わりは、連用形になることが、多い。日本の和歌や短歌でも多い。

 これは連用形、あるいは、接続形 と見ることができる。

 このようにして唄を解析していこうと思っている。
 それが、八重山民謡のより深い理解に繋がるのではないか、と思うからである。

 また、昨年の6月のコンクールの会場で、八重山民謡の中核的な師匠から、「君は島言葉(八重山の言葉)を分からないだろう。それでは、ちゃんとした歌は歌えない」とのご指摘を受けたのである。

 私も他の生徒と同じように、例えば上の鳩間節ならば、唄を聞いただけではたしかに意味は分からないが、図2のように歌の本を見ると理解できる。それでよし、としていたが、それではダメなのであろうか、と思った。そしてこのような勉強を始めたのである。

 さて、最後に最近の英語教育の憂慮していることについて述べよう。
 
 小学校でまで英語を勉強しよう、などと言っているが、小学校から高校まで英文法をなぜか理由なく軽視して行なっているようだ。
 雰囲気で掴むのだ、とか、ネイティブは文法など勉強しないから、と言っている。

 しかし、これでは英語を理解することは100年やっても不可能であろう。
 
 英語の勉強 日本語との違いを学び、覚えるべきところは覚える。 

 例えば、単語である。犬はdogで猫はcat。なるほど違うのである。これを覚える。

 しかし、このように、英語と日本語の意味が一意対応しているものは良い。そのまま覚えたら良いのだ。
 
 しかし、have とか get とか、as のようにいくつも意味があるもの、これこそが難しい。haveに至ってはこれは文法も理解しなければならない。

 haveなんて、日本語では「持っている」という意味しかないが、英語ではそうではない。

 現在完了 過去完了にも使うし、あと仮定法にも使われる。

 単語の理解と並んで大事なのは、文法である。

 先の仮定法 ならば、英文法の仮定法の章の所の英語の文章を読んでいく、そして理解していけば良い。そこには、仮定法の説明も書いてあるから、きっと理解できるであろう。
 しかし、英文法というもの、体で分からなければならないことがある。
 故に、そこにある文章を暗記していけばよい。
 すると「仮定法」というグループで文章が頭にピタッと入る。これが徹底的な理解に繋がる。
 はっきり言って、高校の参考書 チャートでも、フォーレストでも、そこにある英語の文章を覚え、と同時に文法の説明を理解できれば、英語の勉強は終わりである。そのようなものではないだろうか。
 あと訓練のために、英文解釈、英作文、聞き取り、みたいな問題を解く、ということがあるのだ。

 つまり、英文法こそが英語の勉強の柱であるのだ。
 
 先の八重山の島言葉。

 日本語とは親戚関係 類縁語である。似た単語も多い。

 日本語もそうであるが、文法の肝(くぃむ)は動詞の変化である。動詞と助動詞の結びつき。その時の変化である。
 これが難しい。しかし、その壁を超えなければならないと思うのである。
 

 
 

2017年5月29日月曜日

「英文法解説(江川泰一郎 著)」を読む

今日は

 さて、今日の話題は英語の話題。

 また、要らないことを始めたようです。

 発作的に自分の「英語」というものをまとめたくなりました。

 まあ、具体的にどのようにしているかというと、「英文法解説(江川泰一郎 著)」を読んでおります。




 この本は知る人ぞ知る、英文法の名著です。
 おそらく我が国においてもっとも良い英語の文法書の一つだと思います。
 1958年からのロングランです。
 江川先生はお亡くなりになりましたが、この本は現役で今も書店で売られております。

 高校生のころ、先生か友人に言われて本屋さんで買いました。
 随分と難しい本であるな、と思いました。
 とても私の手に負える本ではありませんでした。

 時は流れて30年。
 5年ほど前でしょうか。
 本屋さんで時々お見かけして気にはなっていましたが、ついに買ってしまいました。
 旧友と久しぶりに出会い、家で酒を酌み交わした、という感覚でしょうか。
 しかし、相変わらず難しい友人です。
 会話は弾まず、この本も再び本棚の隅で眠りにつくことになりました。

 この頃、なぜか英文法書を買い集めておりました。
 旧版でもう売っていないものから、現在、売られていて評判の良いものをいくつか・・・
 漠然とですが、自分の「英語」というものを何とかまとめたかったのでしょう。

 新々英文解釈研究(絶版)
 ロイヤル英文法
 表現のためのロイヤル英文法(マーク・ピーターセン 著)
 英文法詳解 木村(絶版)
 チャート式 青
 安藤貞夫 現代英文法講義
 アルク 英文法(正式名称を失念)
 小野圭 英文法の本 名前を失念 本棚のどこかにあるが(絶版)かなり古い 終戦直後の本。

 結局、英語を身に付けようと思ったら、まず英文法をきちんとやる。
 そうして、自分の頭の中に強固な「井形」を作らなければならないのではないか、と思った。
 
 では、どの参考書で作るか、ということになり、パラパラと上述のものをめくった。
 チャート式、本屋で見た高校生に評判のフォーレストは、ちょっとガキ臭い。
 ロイヤル英文法はくどすぎる。
 安藤先生の現代英文法講義は、難しすぎるまた、くどい。
 英語をここまで数学のように理論化しなくても良いのではないか、と思った。

 新々英文解釈研究は文法書とは言えない。高校時代、よく勉強したが。
 結局、数学はオリジナル問題集。英語はこれである。


 表現のためのロイヤル英文法(マーク・ピーターセン 著)は、なかなかの本だと思う。
 コラム(Helpful Hint)がすごく良い。
 日本語と英語の違いがピーター先生が明らかにしてくれている。分かる。

 結局、「英文法解説(江川泰一郎 著)」を採用。今読むと例文が豊富で含蓄も深い。
 ただし、わからない単語もあるので辞書を引かなくてはならない。
 また、文法の説明自体はあまり沢山はない。丁寧でもない。
 春秋の筆法、というか、一言で簡潔にスパッと言い当てて来る。
 分かる人には小気味好いが、わからない所はまったく何を言っているのか分からない。

 これが故に、高校生の私、そして多くの高校生には取っつきにくい参考書であったのであろうな、と思う。

 今の私が、高校時代の私に比べて英語力が向上したとは思いえない。
 いや、むしろ退潮したとさえ思うが、人生を踏んできたせいか、チャート式などに比べてちょっと長めで、分からない単語もよく出て来る参考例文も、その中に含蓄されているものを楽しむことが出来るようになった。
 難しい英文も英文解釈の練習と思えば、面倒くさくもない。

 文法的なことで分からないことは、表現のためのロイヤル英文法(マーク・ピーターセン 著)や、新々英文解釈研究を参考にしている。
 新々英文解釈研究は、高校時代に塾で必死に勉強した本。
 自分の英語力を涵養した主力であるとともに、大人の世界への扉を開いたような本と考えている。
 私にとって永遠の聖典とも言える本である。

 今回のお勉強のポイントであるが、ただ本を読んで、分からない単語は辞書を調べて行間にその意味をメモしているというやり方ではない。
 実はパソコンを使ってやっている。
 本をスキャンし、KeyNote(マックのPowerPointのようなアプリ)に貼り付けている。
 単語はこれまたパソコンに付属している英語辞典(コーパス英和辞典)をコピペしている。



 言うまでもなく英単語というものはいろいろな意味を持っている。
 それを行間にちょっとだけ書くだけでは、単語の意味を捉えたとは言えないだろう。
 コピペして、ドンと貼り付けておけば、あとから見ても勉強がしやすいのである。
 ついでに、 表現のためのロイヤル英文法や 新々英文解釈研究で参考にしたところもスキャンして貼り付けている。
 これも良い。

 思い出すに、当時の高校英語と中学英語のギャップは相当なものであった。
 高校で扱う英文は長くて、内容も難しかった。
 日本語で聞いてもなかなか容易に分からないものも珍しくはなかった。
 このような英文を解釈するにあたり、分からない単語の辞書を引き、行間にチョロチョロとメモをしていくが、こんなことで解釈できるような文章ではなかった。
 その上、分かりきった単語と思っていた、have, get , asなどが、暴れ回るのである。
 あの時に、このKeyNoteやらスキャナーがあれば、英文解釈研究も教科書ももっと簡単に撃滅できたであろうと思っている。

 「英文法解説(江川泰一郎 著)」を勉強している、と威張って書いているが、ここ3-4日のことなのである。
 しかし、第1章 名詞 を読み終わり、今、ちょっと飛んで、第13章 準動詞 の所を読み進んでいる。
 不定詞、動名詞、過去分詞のあたりである。
 この辺はなかなか難しいし、どうも自分でも理解が足りないところがあるのではないか、と思っていたところである。
 水曜日くらいまでに読み終わると思う。

 この本は全部で18章ある。水曜日で1/9が終わるのか。

 全部やれるのか、途中で挫折するのか、定かではない。
 しかし、このようなことに思い当たったのでちょっと書いておこうと思ったのである。
(平成29年5月29日)

 

2017年5月5日金曜日

教育は社会を背負う人材を育成するためにある

こんばんは

 まあ、小学生の英語にはいろいろな考え方があると思います。

 1.英語は大事だから、小学生のうちから、早くやったほうが良い。

 2.まずは日本語の学習が大事。英語は中学からで十分。

 私は2の立場を取っていますが、1の方もいらっしゃるわけです。

 両方ともいろいろな論説がすでにあり、本もたくさんあるし、インターネットで探すと、これまたたくさん出て来るかと思います。

 私が一々ここで力説することもないでしょう。

 さて、今日あげた文章は、センター試験の国語の問題にあったものですが、良いことを書いているので、ここに掲載しました。

 かつて、日本は漢文の素読を重視しておりました。

 それは言うなれば、考え方の型を作ること。そして、そのような型を身につけた人間を、国家が重宝し、社会が重宝するのです。
 
 こう考えると、我々がやっていた受験勉強というものも、それと気脈を通じるものがある。
 しかし、ただの英会話にはそのようなものは感じません。

 ただ英会話の上手な人を、日本国が重宝するとは思えない。

 安倍さんだってそのようなことはツユとも考えていないでしょう。





2017年4月28日金曜日

安倍よ 小学生に英語は不要だ



安倍よ.またアホなことを始めるようだな.
 小学生は英語を勉強する必要はないのだ.必要なのは日本語の勉強である.本を読み,そこから情報を取ることが出来る様になること.これが大事である.本を読みそこから情報を得られれば,読書が楽しくなる.

 小学校の5,6年までにこのようにして読書の楽しみを覚えた子供は・・・3人の子供を育てた経験と,今まで見聞きしてきたことから,思い切ったことを言わせてもらえば・・・その地域の一番校,くらいに無理なく軽く入学出来るものなのである.
 政府の英語教育重視の政策を受けて,子供や幼児の英会話塾が盛んである.しかし,まったく意味がない.
 そんな所に通わせる暇があるのなら,本を読ませるのが百倍得策であろう.

 かく言う私も小学3−5年の時に,分厚い少年少女世界文学全集をひたすら読んで,読書力を身につけたと思っている.それが医学部に合格する学力を身につける原動力になったものと今になって思っている.安倍総理も,この政策を提言した楽天の三木谷氏自身も,小学生から英語をやったって学力は向上しない事は百も承知のことと思う.
 安倍よ.教育で国民を誑かってはいけないぞ.  註:誑る(たばかる)




2017年4月22日土曜日

介護保険法改正案が衆院通過 


屋上に屋を架す(おくじょう や を かす),とは正にこのことであるな.

 安倍よ.介護保険制度は明らかに拵えた(こしらえた)お前らの失敗だ.
 これが出来た時,医療と完全に分離してしまった.これが失敗の原因だ.
 財界のおじさん達で構成する財政諮問会議が,医者はアホだから介護等やらせてはダメだ.俺たちにやらせたら,安くてすごく良い制度を作ってみせる,と豪語して作ったものだ.

 あれから15年あまり.老人ホームに入るのには,月に15から20万円かかる.
 そんなに払える人は殆ど居ない.それ以外の人は自宅で面倒を見るしかないのだ.
 国民総介護疲れとなっているぞ.

 かつては,療養型病院が至る所にあった.そこには月々35000円で入院できたのである.最低年金は4万であるから,一番年金の少ない人でも月に5千円くらいで好きなおやつを買えたのである.

 お前ら自民党と今や自民党を指揮する財政諮問会議の責任である.
 まったくおかしな制度を作ったものである.
 その改正案? 元々ダメなものを改正してどうなる? 正に屋上に屋を架す であるな。
 もっと値上げする? って事だろう.
 介護保険にTPP,憲法改正もしたい?・・・どこまで国民を苦しめたら気が済むのだ.

平成29年4月20日

2017年4月12日水曜日

電子カルテは紙カルテを上回るか という記事を見つけたが・・・

今日は

 こんな記事を見つけました。

 2006年に書かれたものですが、今も似たり寄ったりですね。

(77)電子カルテは紙カルテを上回るか
まとめ:現在の電子カルテは、多くの診療所にお勧めできる水準ではない。多くの場合、返って不便です。診療所の電子カルテの導入が、本当に自分の診療所で役立つのかしっかり検討し、慎重に決断しましょう。

 以下の内容は日本医事新報2005年6月11日号、「電子カルテは紙カルテを上回るか」、松本光正医師の原稿を元にしたものです。 
 執筆者の松本光正氏は関連病院で一年前から週に一度、電子カルテを使用しています。
 パソコンはある程度使えるほどだそうです。
 電子カルテの長所ばかりが報道される昨今に、あえて、電子カルテの不利な点を述べています。

電子カルテの欠点
(1)紙カルテよりも記載には圧倒的に時間がかかる
  コンピュータ上級者ですら記載時間の短縮にならない。カルテ作成はただの文章記載だけではない。1時間に20人以上はとても対応できない。


 ◆所見の記入
 紙カルテのほうがはるかにスピードが速い。

 しかもパソコンを見つめながら患者さんの話を聞くと、患者さんは不安になる。
 文字だけでなく、画面を変えるのに何度もマウスをクリックしたり、マウスで絵を描いたりするので、手書きほど速くできない。

 ◆処方の記入
 一般に薬の名前をシートから選んで画面上に並べてゆく。

 内服方法や何日分投与するのか、みんなキーボードとマウスの操作が必要。
 同じ処方か、決まったパターンの処方でなければ、紙カルテの5倍どころか、時には20倍も30倍も時間を要する。

 診察の後で薬を変更、追加も画面の変更から始めなくてはならず、たいへん面倒。
 電子カルテにとって新規処方や処方の変更は最も時間のかかる作業である。

  ◆検査、レントゲン、心竃図などの指示
   検査の指示も処方の変更と同じく、大変面倒である。

  検査の追加も厄介である。

(2)過去のデータがなくなる

  新規の開業時に電子カルテを導入するのは簡単であるが、紙カルテから電子カルテに変更した時は大変。

 過去のデータを電子カルテに移すには膨大な時間を要するので通常は行わない。
 そのため過去のデータがないままの診療となってしまう。

(3)慣れるのに時間がかかるので、臨時の医師が来たら大変

  とくに代行の医師が来た場合は大変。

(4)いろいろな紙類の保存
 電子カルテになっても、他院からの紹介状、報告書、写真類などがたくさんある。

 そのほかにも、各種診断書、証明書などの書類がある。

 スキャナーで取り込むのは面倒なので、カルテの代わりに保存するファイルが結局必要となる。

(5)疲労の増大
 
正面の画面を見る姿勢は、疲れる姿勢である。肩こり、腰痛、画面凝視による眼精疲労、キーボード、マウスの操作で腱鞘炎などなど。

(6)入力ミス 
 入力のミスは手書きのミスより始末が悪い。
 電子カルテでは診療の全体像がつかめない上に過去の患者データが見えない。
 そこにきれいな活字で出てくるので信用してしまう。

(7)視認性の悪さ
 一覧性が低く、視認性の悪さが電子カルテの最大の欠点である。

 紙カルテでは一瞥するだけで数カ月分の患者さんのデータが目に飛び込んでくる。

 しかし電子カルテは数回前のことは同じ画面ではわからない。
 血圧を測りながらちらちらとカルテに目をやり、数回前までの血圧値をチェックし、同時に前回の投薬内容に目を通す。

 紙カルテでは誰もが自然に行うことができる。

 電子カルテでは数回前の血圧は何回かマウスをいじるかキーボードを叩いて初めて出てくる。

 紙カルテならパラパラめくれば病名や病歴などの膨大な情報が目に飛び込んでくる。

(8)セキュリティー
 厳重に管理されている大会社でさえ漏洩する状態です。


 小さな病院などのデータはすぐにでも漏れてしまいそうです。電子カルテの数万人分の情報が小指ほどのUSBメモリに収まってしまう。
 大量に、しかも瞬時に盗まれるところにこの電子カルテの怖さが潜んでいる。

(9)システムダウン
 システムダウンはいつでも起こりうる。

 ほとんどすべての電子カルテ導入の医療機関がシステムダウンを経験しているという。
 院内は大混乱、小さな診療所では直してくれるエンジニアはそばにいない。
 まったくのお手上げ状態となる。

(10)電子カルテの利点と言われていますが…

◆数々の統計がとれる
  いろいろな統計を必要としているなら、電子カルテは非常に有用である。

 しかし、これらの機能はほとんど使わない機能である。

◆血液検査結果がグラフ化できるなど
 なにもこの機能は電子カルテに限ったものではない。

 この機能にだけ特化した簡単なパソコンを導入すればそれでよい。
 血液センターによっては無料で導入してくれる。
 自前で導入してもさほど費用はかからない。

◆待ち時間が短くなる
 嘘である。このことは正直な多くの電子カルテ愛用ドクターも証言している。

 待ち時間は長くなるのが現実である。

◆事務量が減る、事務作業が速くなる、薬受け取りが早くなる
 本来事務員がするべき仕事を医師がしているだけである。

 そして患者さん一人に対する時間は返って長くなり、医師一人当たりの患者数が減る。

◆その他、患者サービスの増大


おわりに
 こうして見ると、電子カルテはいったい誰のためのもか。

 待ち時間は長くなる、医師は顔を見てくれない、薬は電子カルテ用の約束処方ばかりだし、患者さんにとっては一つもメリットはないようだ。 

 医師にとっても、肩はこる、目は疲れる、患者からは怒られる、システムは高い、と欠点ばかりが目立つ。

 電子カルテはとてもカルテに革命をもたらすとは言えない。
 近年、コンピュータはすごく発達したが、まだカルテの代わりになるには力不足と言える。
 結局、医療という巨大マーケットに対する会社の戦略に過ぎないようにみえる。

【当院の意見】
(11)追加:将来、他のシステムへの変更が事実上制限される。最初に導入した電子カルテメーカーの言いなりにならなければならない

 現在、電子カルテ導入には1床当たり、約100万円かかるという。

 その後の維持にも毎月30万、追加購入するシステムにもコストがかかる。
 導入した医療機関が莫大な経済的負担で苦しんでいるとの話は少なくない。

 しかも、昔、パソコンのOSがウインドウズでなく、メーカーごとにOSが乱立したときのように、メーカーごとに異なる電子カルテのデータ保存形式であり、またメーカーの顧客囲い込みのために、他の電子カルテへの移行に制限が生じることは必須である。

 特にハードと一緒に売り込んできたメーカーは、おそらく4-6年ごとに診療所の場合を例にすると300-400万円以上する「後続機種にしないとメインテナンスできません」と言ってくる。
 「モニターも、パソコンも、プリンターも専用でないとできません」など、メーカー側の都合ばかりで、診療所のスペースが複数のパソコンで狭くなる。
 医療費削減が大きな問題となる一方で、新たな効率の悪い、金喰いシステムを勧める矛盾もある。 

 私のところは、よそに比べるとかなり電子化している。

 しかし、システムは電子化によって大きなメリットのある部分のみにしている。
 自分の診療所にあった、システムと使い勝手となっている。
 開発コストも自前なので支払いはない。

 このような電子化なら、もし可能ならぜひお勧めします。


参考
 「電子カルテは紙カルテを上回るか」日本医事新報No.4233 2005.6.11 号(松本光正、埼玉市・おおみや診療所長)
2006.03.03記  2006.03.20修正



2017年4月11日火曜日

電子カルテを問う ワープロ打ちの功罪

今日は 電子カルテの話題です。

 電子カルテの最大の欠点は、患者情報をワープロで入力しなければならないということ。逆にこれが「読みやすい」という最大のメリットにもなるわけですが。

 しかし、外来の現場では、ワープロは苦しいものだと思います。

 現場は以下のような感じです。

 80歳 男性 今まで膝が痛くてリハビリしていたのに、3ヶ月くらい来られなくて、久しぶりに来院。

患者「久しぶりに来ましたよ。実は私、入院していたのですよ」と仰る。

私「どのくらい入院していましたか」 とお尋ねすると、「2ヶ月くらい。肝臓の癌になったのだと」

 私は紙のカルテなので、カルテに『肝癌で2ヶ月入院』と記載する。

 私 「どこの病院にいつから入院していましたか」とお尋ねする。

 患者 「市立病院に、えーっと、1月の20日から」と仰る。

 カルテにさらに『1/20から  市立病院』と追加して記載。

 私 「どんな治療をしましたか? 手術はしましたか』 とお尋ねする。

 患者 「カメラでね」と言って、お腹を見せてくれた。2cmくらいの傷が2−3箇所ある。

 確かに、カメラで腹腔鏡の手術をされたのだな、と確認できた。
 
 カルテに、癌から矢印を引いて、『腹腔鏡OP』と記載。

 私 「今は何か治療していますか」とお聞きする。
 
 患者 「薬を飲んでいます。今度は・・・えっと、4月25日に行きます」と。

 カルテに、『現在内服中 次回の外来 4/25』と追加記入。

 このような話をしながらカルテに記載していくと、以下のように記載されることになる。

 


 
 紙カルテではこうなるし、何も問題はない。よくあることです。
 紙カルテを使っている先生方ならこのように書くでしょう。
 もっと上手に書かれる方もいらっしゃるかもしれないですが・・・

 しかし、これを電子カルテで書くとなると、ものすごく大変だと思います。

 最終的には
 「1月20日から2ヶ月市立病院に肝臓癌で入院。腹腔鏡を行った。現在、投薬で治療中。次回の市立病院の診察日は4月25日」
のようになる。

 全部聞いてから書かなければならない。
 きっとメモを取りながらでないといけない。
 これは大変である。

 故に、私が聞いたところでは、このような場合の電子カルテの書き方には3つのパターンがある。
 
 1)このような箇所は、メモしておいたり、思い出しながら昼休みなどにきちんと書く。

 2)単語だけ羅列しておく。
   「2ヶ月入院 市立病院 肝癌 腹腔鏡 現在投薬 次回4月25日」のように。
  まあ、分かります。

 3)書かない 膝のリハビリをしている患者さんだし、直接関係ないみたいだから・・・

 なかなか大変だと思う。
 しかし、なるほど、

 「1月20日から2ヶ月市立病院に肝臓癌で入院。腹腔鏡を行った。現在、投薬で治療中。次回の市立病院の診察日は4月25日」

 のようにビシッと書かれていると、他の科のドクターがみても分かり易いであろう。

 しかし、外来でこれをする、と言ったら大変な手間であろうね。


 そこをどう考えるかであろう。

 3)は、ないでしょう。

 患者さんからお聞きしたことは全てカルテに書き留め、何かの時、ここぞ、と言った時に参考にする。このように先輩から習いました。

 それで、救われることもある。
 それがカルテであり、私たちのお仕事だと思っています。


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