2017年3月14日火曜日

永遠の保存をjpgで目指す

永遠の保存をjpgで目指す

 先日の患者さんのことです。

 久しぶりであったけど、骨粗鬆症の検査がしたいと。
 行いました。結果を発表しようとすると、前もここでやったことがある、と仰る。
 えっ、と思い、カルテをひっくり返すと、1ページ目に、「平成15年に受診歴あり」と書かれてある。

 迂闊であった。平成15年から来られていなくて、また再び平成25年から来られている患者さん。
 「平成15年に受診歴あり」とは、平成15年以前のカルテは捨てた、ということである(当院は平成13年開設)。

 しかし、小生も「札幌骨粗鬆症クリニック」なんて名乗っている手前上、前のデータがない、とは言っていられない。
 すぐ目の前のiMacで当院の電子カルテを作動。
 この患者さんの昔のカルテをカルテ番号から素早く見つけ出した。
 もちろん秒殺である。
 見ると、この時にはまだ、カメラで撮っていたもの。

 しかし、そこに確かに存在している。
 見ると、平成13年から15年まで来られている。
 「前にここのクリニックに帯状疱疹でかかったこともあるのですよ」と患者さんは仰るが、それもカルテに書いてある。
 また、骨粗鬆症の検査を3回もしている。
 このデータもカルテに書いてある。
 
 患者さんに、過去3回のデータと今日のデータを比較してご説明した。
 骨密度が豊富な方で、あれから13年くらい経ているが、幸いあまり骨密度は変わっていない。
 患者さんもその結果に嬉しそうであった。
 骨粗鬆症の薬も特に必要としなかった。

 患者さんも、ずっと前のデータと比較してくれて、ご満足であったと思うが、自分も「良い仕事ができた」と思い、非常に満足であった。

 古いデータは法令に基づいて捨てたって良い。落ち度ではない。
 しかし、私の主任教授が口を酸っぱくして仰られていたように確かにカルテは財産である。
 ものがなければ何も始まらない。それを残すことができて本当によかったと思う場面であった。

 思うに、今の科学水準で確実にカルテを保存するのには、紙に書いてそれをカメラで写真に撮るか、スキャンをするか、そして、PDFかjpegの様式で残すのが最も確実だと私は思う。

 電子カルテの業者の特殊なファイル形式では、手元に残りません。
 多分消滅する。
 業者と喧嘩したらそれで終わりだし、忠義立てて使っていても、消滅するときには消滅する。

 データを永遠に(少なくても自分の目の黒いうちは)残したければ、今の汎用性のあるファイル形式で残さなくてはならないだろう。
 具体的に言えば、jpg,  pdf, などである。
 この形式だって、いつまであるか、本当に分からない。
 コンピューター業界は本当にめまぐるしく変わる。
 でも、jpg,  pdfだったら、大丈夫ではないかな。


 それが今のITの偽らざる実力であり現実であると熟(つくづく)思うのである。

電子カルテを問う 目次


付録

動画と写真で確認する――裁断&スキャンのコツ(スキャン編)
http://www.itmedia.co.jp/bizid/articles/1006/28/news071.html

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